渓谷の先に
、癒しの湯。
巨石と清流が織りなす造形美。
紅葉が色を添える、龍の背を歩く。
荒々しさと深遠さを兼ね備えた龍の姿。切り立つような巨岩とエメラルドグリーンの清流のコントラストに目を奪われる龍王峡は、2200万年も前、海底火山から噴出した火山石が鬼怒川によって侵食されてできた大渓谷だ。岩の色に合わせて白龍、青龍、紫龍峡と呼ばれる3つの渓谷から成り、川沿いの道はハイキングコースになっている。
駅からすぐのスタート地点から歩き出すとほどなく、轟音が聞こえてきた。虹見の滝の音だ。その名のとおり、晴れた日は滝の水しぶきに陽光が差し、虹が架かるという。まるで険しい山に咲く一輪の花のような趣だ。激しいしぶきを背景に、小さな七色の虹がぽっかりと浮かんでいる。その後も次々と現れる岩の芸術。圧倒されながらも歩みを進めると、龍王峡のハイライトである、むささび橋に到着した。眼前に広がるのは、気が遠くなるほど長い年月を経て創造された、自然の造形美。周囲の山々も紅葉し、すっかり秋の装いだ。橋の先には、フランス文学者で詩人の堀口大學の詩碑が建てられている。「石は黙ってものを言ふ 直に心にものを言ふ」という一説ではじまる詩に、先の絶景をそっと重ね合わせた。
決して平坦とはいえない、約6キロものコース。山道を抜けるとそこが、ゴール地点の川治温泉だ。久しぶりの運動が効いたのか、ずしりと重たい足腰に無色透明の湯が染みる。巨大な龍の背の先に見つけたのは、同じ大自然からの贈り物。湯煙舞う、癒しの湯だった。
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【ハンターマウンテン、秋のロープウェイ】
鬼怒川と那須を結ぶ「日塩もみじライン」は秋には色鮮やかな紅葉を見せてくれます。その途中にあるハンターマウンテン、通称「ハンタマ」では、10月1日~11月13日の間、1600mの山頂までの「紅葉ロープウェイ」が運行されています。山頂には遊歩道があり、日光連山から関東平野までを見渡す絶景を見ることができます。この季節にしか楽しめない秋の「ハンタマ」へ是非足を伸ばしてみてください。
紅葉に
、無常の世界。
大遠忌の、この年に。
都を染める紅葉を求めて。


夏の納涼床も終わり、京都の街にも聞こえてきた秋の足音。まるで短い命を燃やし尽くすかのごとく真っ赤に染まる紅葉には、華やかな桜とはまた違う、厳かな美しさがある。
紅葉の名所は数多あるが、ずば抜けているのはやはり「東福寺」だろう。通天橋から見下ろす渓谷はまるで、朱と黄色の大海原。紅葉狩りが庶民に広まった江戸時代から変わらぬこの景色は、一生のうちに一度は目にしておきたい絶景といえる。一方でツウ好みなのが「岩倉 実相院」。ここの紅葉は少々、趣向が異なり、黒光りした床に庭の紅葉が写り込んだ“床もみじ”で知られる。最も美しく写るベストタイムは、晴天時の正午ごろだそうだ。しかし、どちらも混雑は覚悟のうえで。なるべく人ごみを避けたい人には、都の中心部に位置する「京都御苑」をおすすめする。銀杏や欅、桜といった紅葉以外の紅葉も楽しめるうえ、広大な敷地内をのんびりと散歩しながら観賞することができる意外な穴場だ。秋には京都御所の一般公開も行われるので、時期を併せて足を運ぶのもいい。
紅葉がいつの時代も人々を惹きつける理由、それは美しさだけではないだろう。時のなかで移ろい散りゆく紅葉の一生は、仏教でいう“無常観”にも通じる。奇しくも今年は日本仏教に多大な影響を与えた宗祖、法然と親鸞の大遠忌という節目の年。無常の世を生きる己の人生と重ね合わせ、愛でる紅葉の美しさは、より一層味わい深いものに違いない。
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【秋の鮎】
JR京都駅の名物弁当としても有名で、京都の名物でもある「鮎」は、夏においしい魚として古くから日本で食されてきましたが、実はこの鮎、産卵前の秋には卵を持つため、脂がのり、味が一段と増します。たっぷり卵を抱えた秋鮎もまた、京都の秋の味覚と言えるのではないでしょうか。
湯煙の向こうに
、天下人の夢の跡。
燃ゆる紅葉の下で茶を一服。
秀吉と縁の深い、関西の奥座敷。


茶褐色の金泉と無色透明の銀泉で、多くの貴人や文人墨客にも愛されてきた有馬温泉。日本三大古泉のひとつにも数えられる歴史ある温泉地だ。関西の奥座敷と呼ばれて久しい有馬温泉だが、長い歴史の間には存亡の危機もあった。
戦乱で衰退した有馬を再興し、世に広めたひとりの男。その人物こそが、信長亡き後の秀吉だった。秀吉は再興に尽力する一方、湯浴みのために建てた別荘、湯山御殿に家族や諸大名を招き、日々の労をねぎらったという。秀吉自身も幾度となく足を運んだというのだから、天下人にとっても有馬でのひとときはかけがえのない、癒しの時間だったのだろう。1995年の阪神・淡路大震災で被災した極楽寺の建て替えの際、偶然にも発見された湯山御殿の風呂の遺構を展示する「太閤の湯殿館」では、派手好きで知られた秀吉らしい、贅を尽くした湯浴みの様子を垣間見ることができる。
秀吉が残した夢の跡はほかにもある。紅葉の名所と名高い瑞宝寺公園で毎年11月に開催されている「有馬大茶会」がそれだ。これは秀吉が千利休とともに催した大茶会に因んだもので、期間中には2500本ものカエデが色付く公園内に野点席が設けられる。気分は太閤秀吉。紅葉で夕焼けのように染まる空を見上げながら、風雅な茶の湯に興じてみてはどうだろう。
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【有馬の名産工芸品「有馬籠」】
竹を編み合わせることで造り出される「有馬籠」は、太閤秀吉とともに有馬を訪れた千利休の求めで茶道具として作られたともされています。茶道や華道をはじめ、現代では様々な用途の有馬籠が作られています。有馬の街並みを散策される中で、お気に入りの一品を探してみてはいかがでしょうか?
- ホテルハーヴェスト 日本季節の特集ページ
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- 2011.12月Vol.3 とびだす、日本 冬
- 2011.10月Vol.2 みつける、日本 秋
- 2011.7月Vol.1 ひろがる、日本 夏

















